当院のインプラント治療を
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コラム
2017.04.17 Vol.2 インプラント治療とサクセスフルエイジング
インプラント治療の具体的なお話に入る前に、もうひとつ、私たちの治療に対する考え方をご紹介したいと思います。
インプラント治療の講演やレクチャーを行う際、最初に必ずお伝えすることがあります。それは、「目的」(まと)と「目標」(しるべ)は違うということ、そしてインプラント治療は「目的」にはなり得ない、ということです。
例えば、私が世界に挑戦できる陸上の選手であり、世界一になることを目指して一生懸命に過酷な練習に打ち込んでいるとしましょう。おそらくこの際、「世界一になって金メダルを取る」ことは、私にとっての「目的」にはなりません。私にとっての「目的」は、世界一になって金メダルを獲得し、家族やお世話になった方々と幸せを分かち合うことであったり、あるいは後世に残る名声など、金メダルのもっと「先」にあるものだと思います。そして金メダルの意味、それは、目的に到達するために必要なしるべ、すなわち「目標」になるのではないかと思っています。
歯科治療もこれと同じで、目的と目標をしっかり見据えることが重要です。歯科治療の目的、それは、患者さまの「サクセスフルエイジング」に他なりません。健全な咀嚼の維持により、生涯を通して自分のお口でしっかりと食べることができ、心身ともに健康に年齢を重ねていただくこと、これが歯科治療の目的です。
そのための目標となるのが「よい治療」です。「よい治療」とは、患者さまの身体的・経済的負担を出来る限り低減するため、できる限り短期間で、痛みや腫れをできる限り抑え、嫌な思いもすることなく、一回の治療でしっかりと噛めるようになり、可能な限り長期的にトラブルに見舞われることがない状態を実現することです。
繰り返しになりますが、私たちが歯科医療を通して実現したい目的は、患者さまに「サクセスフルエイジング」を実現していただくことであり、そのためのしるべ:目標にあたるのが「よい治療」です。これをはき違え、「よい治療」を目的としてしまうと、患者さまのサクセスフルエイジングに一直線で繋がる筋道が途絶えてしまうのです。
当院では、このような「目的」と「目標」を常に想い描いたうえで、目的を実現する一つの手段としての「インプラント治療」に取り組んでいます。インプラント治療は目的にはなり得ません。サクセスフルエイジングという目的を達成するための目標、すなわち「よい治療」のひとつなのです。
また当院では、高精度体成分分析装置を活用した食事指導や運動指導なども行っていますが、これらもすべて、患者さまの「サクセスフルエイジング」という目的を達成するための取り組みです。サクセスフルエイジングは、決してお口の健康だけを維持すればよいものではありません。お口の健康を含む、全身の健康があってこそです。だからこそ当院では、「よい治療」のまた別の手段として、お口だけを診るのではなく、ひとりひとりの健康状態に応じた健康指導にも取り組んでいます。